■ガンジス 上流篇
1. Tapavon (タポヴァン)
ガンジスをめぐる旅は、十月半ばの冬のヒマラヤからはじまった。
本来ガンジスの水源は、ゴームクと名付けられた氷河末端だとされている。だがさらにその深奥に、アカーシャガンガー(天上のガンジス)と呼ばれる小さなせせらぎが沸き出しているという。その地を目指して、氷河を渡り、クレパスを迂回し、険阻な岩壁を登りつめていった。
頭上に浮かぶ雲が、やがてのしかかるように迫り来るのを覚えはじめた頃、とつぜん視界が開け、緑草の生い茂る平坦な土地にたどり着いた。標高約4500メートル、ガンジス河最初の聖地タポヴァンである。
鈍色の空のもと、アカーシャガンガーの小さな流れがきらめいている。そしてその細流を中央にして、意思の疎通を図るように二つの高嶺が対峙している。




